去る10月の中旬、親鸞会館において、親鸞会恒例の大報恩講が盛大に催された。
特に今年は御病気をおしての先生の御説法をはじめ、熱のこもった弁論大会など、いずれも感銘深いものばかりであった。
又一般学徒による体験発表も好評を博した。
先生の喉の痛みは一層悪化し、一時は説法は不可能ではないかとも思われるような状態であった。
しかし、病を押して演壇に立たれた先生は
「私は現在、ふつうならとても説法できる状態ではありません。
この報恩講が終ったら、私は満足して休むつもりです」
と語られ、親鸞聖人の御生涯における最大の痛ましい事件、聖人84才の時の善鸞義別事件について、その背景と意義を説法なされた。
弁論大会については少々マンネリぎみという意見もあって、今年は特に企画に力を入れた。
弁士の選出も例年になく早く行なわれ、新人が多かったが、それぞれ練習の成果を充分に感じさせる熱弁が続いた。
若き親鸞学徒上演の現代劇は今までの劇と異なり、ある寒村の平凡な一家を描いたものである。
嫁の美智子さんは、後生の一大事に驚き夜中にそっと聴聞に行ったことから誤解を生み、家を追い出されてしまう。
ウラミと呪いの自業苦にあえぐ美智子さんにやがて
阿弥陀如来の慈悲が徹底し、一家はもとの平和に戻るというもの。
実話をもとに脚本を作られ、親鸞学徒の監督のもと4人の出演者は大熱演であった。
大衆はより身近な問題として受けとり、美智子さんの獲信を感動深く観覧、場内には熱気があふれていた。