ところどころ紅葉しはじめた山々に囲まれて国道41号線を岐阜へ向かう車中
「以前、高山のある寺が焼けた時、阿弥陀仏が昇天されるお姿を撮った写真が新聞に載っておりましたが、先生は、ごらんになられましたか」
先生「ああ、見たよ」
「それは、木像が焼けたと新聞に書いてありましたが、浄土真宗では、木像より絵像、絵像より御名号といわれているのですから、どうもわかりません」
先生「寺には、木像はもちろんのこと絵像も御名号もあるのだから、その御名号が焼けた時に阿弥陀仏が昇天されたのだろうネ」
「肉眼で阿弥陀仏が昇天されるところが見られるというのは不思議ですネ」
先生「そんなことは少しも不思議なことではない。
当然なことだよ。
悪ばかり作り続けている泥凡夫の我々が助かることの方がよほど不思議なことだ」