いつのまにか、あの炎天下の高校野球の歓声も、そしてオリンピックの感激も、
今は、虫の音に吸収されて寂しげなサウンド・オブ・サイレンス。
毎日、忙しい忙しいと疲れ果てた心身をさらに酷使して、五欲を追い求めていたら、もう晩秋。
人間の生きる意味も知らずに、ただ惰性的に、台所と便所の往復のみで、
人生の秋を迎えるとしたら、あまりにも悲しい。
一生を貫いて、命をかけて求めても、さらに悔いのない、本当の生きる喜びは、
仏教によらなければ、絶対に得ることは出来ない。
だのに今のこのけだるい気持は何だろう。
なぜ、もっと求道に燃えないのだ。
目にしみるような澄んだ青空をうらめしく見上げていたら、枯葉が冷たい風に吹かれ震えている。
そして、死にかけたトンボが一匹、石ころにつまずき枯葉にかくれた。
明日、つまずくのは誰だろう。
露の命を、一体何にかけようというのだ。
無常迅速もっと真剣な聴聞、破邪顕正に没頭しなければならない。