よく廃立が信心決定するには大切だときかされますが、廃立とはどんなことでしょうか。

「真宗に於ては、いくたびも廃立をさきとせり」
と覚如上人が教えられていますように真実の信心を獲るには、
これ程大切なことはありません。

廃ということは捨てものということです。
立というのは拾いもの、頂きものということです。

親鸞聖人の畢生の著書であり、
浄土真宗の本典であります『教行信証』は三重廃立を示された本といわれています。
三重廃立といいますのは、一つには内外廃立といいまして、
仏教以外の一切の宗教は邪教外道であるから捨てよ、
信じてはならない仏教だけが真実の宗教だから信じ奉れということです。

蓮如上人などは「外道を信ずる者は永く無間地獄へ堕ちる」とまで教えられ
親鸞聖人は
「九十五種世をけがす（外道邪教は世の中をけがす）
唯仏一道清くます（ただ仏教だけが正しい宗教だ）」
と和讃にかいておられます。

第二は聖浄廃立といいまして、
その仏教の中にも聖道門の仏教と浄土門の仏教と二つあるが
聖道門の仏教（浄土門以外の一切の仏教で南無妙法蓮華経などです）は未だ方便の仏教だから
これらを信じておっても助からんから捨てよということです。

そして浄土門の仏教（これは阿弥陀如来を信じ念仏する仏教です）でなければ助からんから、
浄土門の仏教に入れということです。

第三は真仮廃立といいますが、
これは浄土門の仏教といって念仏称える仏教中に真実の浄土門の仏教と仮の浄土門の仏教とがある。
仮りの浄土門の仏教というのは、念仏さえ称えて家庭さえ円満に生活していれば
死んだら極楽へ阿弥陀さまがつれていって下されるのだと信じて念仏している人達をいうのです。
それに対して真実の浄土仏教というのは生命がけで弥陀の本願のいわれを善知識に聞いて、
自分の計い何一つ間に合わなかったと往生の望みのツナがたたき切られて
地獄の釜底へ顛落した時は間髪を入れない一念のたちどころに
光明無碍の喜びの境地に踊り出させて下される阿弥陀如来の本願に遇うた人達の仏教です。

そして死んでからではなく、この苦悩渦巻く人生を感謝と懺悔と法悦で明るく強く、
たくましく真実一路生きぬかせて頂ける仏教をいいます。
だから仮の浄土仏教をすてて真実の浄土仏教を信じて救われよということです。
廃立を除いては仏教も親鸞聖人の教えもないことを知らねばなりません。
また私達の救われる道もないのです。