初めて先生のお宅を訪ずれた時であります。
ジョンという名の素晴しい犬が喜びいさんで雪をかき分けて走って来ました。
まだ未成犬というのに、立った姿は人間よりも大きく見え、それはたくましい犬でありました。
先生が一命されるとジョンはピタリとその命に従い、
「ジョン!!待て」と一声命令されるとその場で待つ。
「ジョン!!ハウス」と命を下だされるとジョンは自分の家へと去ってゆく。
先生の命令なら忠実に従う。
僕はその時、自分というものは、本当に情けないと思った。
日頃、善知識は
浄土真宗の法話をなさって下される。
我々生死の凡夫に
阿弥陀如来の本願一つをハイ!と一声聞かせる為に、命令をくだし、進軍ラッパを吹き鳴らして下さっているのに、それに従うことができずハイ!と答えることができない。
このジョンを通して、
阿弥陀如来は僕に、一日も早くハイ!と返事をしてくれ、本願に早く救われてくれ、さもなくば必堕
無間の身であり、現に於いてもこのジョンよりも劣る人生なんだぞ!!
と叱って下されている様な気がして、心の中で決意新たにわきたつものがありました。