彼が親鸞学徒になったのは今から五年前である。
高校時代は剣道を志したスポーツマン。
高校を卒業すると、この剣道と仕事の両立はむずかしく大好きな剣の道を止めざるを得なくなったという。
彼のこの時の失望は大きかった。
失意のどん底にあえいだ時、幸いにも彼は親鸞聖人のみ教えを聞かされた。
お母さんが以前から親鸞聖人のみ教えを聞いておられたことや、同年代の親鸞学徒の勧めもあって、この真実のみ教えを聞かされ、人生窮極の目的は今、死が目の前にやってきてもくずれない絶対の幸福を獲ることにあることを知った。
自分がどれだけ真剣に剣道をやり名誉を得ても、今死ぬとなった時には何も残らない。
この世の中のすべては死の前には総くずれである。
しかしその死が目の前にやってきても、こわれない幸福があるということに驚いた彼は熱烈な聞法者に生れ変ったのである。
そして剣道と仕事の両立のかわりに、聴聞と仕事の両立に見事に成功した。
彼の仕事は銀行マン。
高校を卒業して現在に至るまで、銀行にはなくてはならぬ人なのだ。
毎朝仕事に出かける前には必ず勤行をし、夜も勤務がどれだけ遅くなろうとも勤行を休んだことはないという。
「朝晩の勤行をする時、親鸞会の御文章は字は大きいし大変読み易い」
と
御文章も大変喜んだ。
朝晩の勤行を欠かしたことのない彼の実感に違いない。
休日はたとえ岐阜であろうと豊橋であろうと必ず
浄土真宗の法話の聴聞に出かける。
今度の降誕会は初出場ながらみごとに二位に入賞してみんなを驚かせると共に、日頃の真面目な聞法ぶりが話題になっている。