以前、私の郷里に於て、一人の老婆が殺されたと新聞の片すみに小さく報道された。
しかしこの小さな殺人事件がやがて多くの人々の関心をよぶようになったのである。
事件の内容は、一人のお婆さんが高血圧と心臓病を長く煩い、その苦しみを見かねた家族五人が早く病気を直してあげたいという気持から祈祷師に祈ってもらったところ、祈祷師からお婆さんの身体にキツネがついているからだといわれ、そのキツネを追い出す為に嫌がるお婆さんを裸にして家族全員で無理矢理肌寒い秋の庭先へ引きずり出し、殴る蹴るの乱暴を働き、あげくの果てに殺してしまったという邪教を信じていたが故に起きた一大悲劇であった。
現今の科学の発達した時代に、とても信じられない様な事件が現実に起きたのである。
警察に捕った家族の者は本気でお婆さんの身体にキツネがついていると祈祷師の言葉を信じており、キツネさえ出てくれたらと真剣に取り調べの警官に話したという。

　一方大都会である大阪に於て、観音教に狂った若い夫婦がヤケドで苦しむ自分の赤ちゃんを医者にも見せず、祈れば直るというお光さんを信じて教会に連れて行き、布教師に見せたところ、この程度のヤケドなら祈れば直るといって御霊紙とよぶ小さな和紙を赤ちゃんの患部に貼って約七時間祈祷。
あくる日は朝十時から夜七時迄、次の日も同じく朝から晩まで三日間祈祷を続けて可愛いい赤ちゃんをとうとう殺してしまった。
検視した医者は始めから医者にかかればすぐ治ったものをと邪教の恐ろしさを嘆いている。
とても常識では考えられない事が大都会で実際に起きたのである。
邪教は本当に身も心も骨のずいまで腐らせてしまうから恐ろしい。

　しかしこの邪教を信じ迷信に狂っている人々を一体誰が非難出来ましょうか。
今、日本には十七万という悪魔外道が跋扈しております。

　然るに七百年の昔に当時の迷信邪教を徹底的に破邪し、真実の仏教を開闡なされた親鸞聖人の浄土真宗は今やどこへ消えたのでありましょうか。

　この責任は邪教を撲滅し迷信打破に先頭を切って歩むべき破邪顕正の聖使命を持っているにもかかわらず、外道を許し、かつ迷信をも許可している東西本願寺の僧侶の上にあるといわずしてどういうべきでありましょうか。

　一体どこに仏教以外は外道であり、正しい宗教は浄土真宗しかないと確信をもって教えてくれる人がありましょうか。　

かなしきかなやこの頃の
和国の道俗みなともに
仏教の威儀をもととして
天地の鬼神を尊敬す

と歎かれた聖人の悲しみが、今再び繰りかえされているのが何よりの事実です。

　浄土真宗の坊主でありながら、後生なんかあるものかと平気でウソブク者、又真宗の肝要であり、親鸞聖人が最も強く、厳しく教えられた信心決定という大事な事を
「信心決定なんか、してもせんでもどちらでもよい」
と全く無責任な暴言を吐く者。
これら悪魔の坊主を一体誰が取締るのか。
阿弥陀如来の他力の信心を伝える力も、坊主を叱る力もない東西本願寺を正すのは誰か？
それは宇宙広しといえども如来聖人の御教をガッチリと受けとめられ、絶対他力の信仰に生かされている親鸞聖人を師と仰ぐ我々親鸞学徒以外に二つとありえない。

　いずれの世、いずれの時代も真実を伝える人は少なく、求める者又少ない。
現在の浄土真宗の衰退を心配する者は全国に五万といても本当に真宗を按じ、衰退を日夜心配して、命がけの布教活動をされている方は親鸞学徒以外に誰がありましょうか。

　親鸞会に入会してよかった。
善知識に遇えて幸福であると口を開けば異口同音に話すが、本当に幸福であると心から思うなら、今からでも決して遅くない。
皆さん、一人一人が手を使い、足を使い、身体を使って態度で示そうではありませんか。

　昔の武士は常に自分の死に場所を考えたといわれる。
我々は幸福にも破邪顕正という最高の死に場所をすでに教えられた。
さすれば我々親鸞学徒一同も、親鸞聖人の浄土真宗の法話の進軍ラッパに従い眠っている人々の目をさまし、絶対の幸福のあることを、声高らかに叫び続け、闇黒の社会を光明の世の中に代え、親鸞聖人の御恩に報いる真の仏弟子の気魄を示そうではないか。