みなさん、ちょっとおかしな話ですが私の話を聞いて下され。
かれこれ十年になります。
尊い身に、分陀利華と呼ばれる身になりたい、
いや堕ちる身、助からぬ機が知りたいと願っておりますが、
今にまだ分りません。
けれども、ここに私の息子も一時は反対の顔色も強く困りましたが、
最近次のことがあって驚きました。
ある日、村のことでとても私にはかなわぬ
大きな寄附金の話が持ち上りました。
私は到底そんな金もなく困っておりました。
ところが息子が
「母さんあんたはいつも一心に仏教を聞いておられるが、
その真実の尊さ、勿体なさは僕もよく感じました。
かまわないから僕の商売のお金から出しましょう」
と出してくれるではありませんか。
私の驚きと有難さは……みなさん御想像下さい。
さらに驚くことにこのことがあってから間もなく息子の商売が都合よく繁昌し
瞬く中に寄附金の何倍儲かって来ました。
みなさん。私もそして息子もそんな儲けをあてにした
利益根性は一つもありません。
ただ
阿弥陀如来一仏に御すがりし
信心獲得を願っているだけですのに……
これーは驚きました……。
「仏法力の偉大さはそんなことばかりです。
早く聞いて
信心を得て下さいね」……と。