ドイツの或る心理学者が西洋文学全般にわたり苦という字と楽という字の比率を調べたら苦が楽の十倍もあったという。
人生とはいかに苦しみばかりが多い世界かを裏書きしている。
これはいつに人間存在の矛盾からおきる。
死にたくないのに必ず死ぬのが人間であり、善いことをしたいのに
悪ばかり起すのも人間、わかっておりながらわかっている通りにならないのが人間界である。
その上、きりのある命できりのない
欲望を満たそうとするがこれでは毛頭人間本来の
生きがいが見い出せない。
然るに一息一息が完全燃焼と善知識は常に仰言る。
仏教の真髄を身を以って体験した者のみが味える世界である。
素晴らしいことではないか。
親鸞学徒は万劫に億劫にも遇い難い真実の法に遇っているのだ。
誇りと自覚をもってひたすら
信心決定に邁進したいものである。