先生は、
「仏法を求める者は生活即求道でなければならない。
仏法は仏法、生活は生活と切り離さず常に自己を真面目に見つめてゆかねばならない。
決断力に富み、激しく厳しい求道は男性的とも言える。
私達は水に溺れた時、もがいて手足をばたばたさせているが、それでは多量の水を飲んで水死してしまう。
そんな時は、もがくのを止め、水に身をまかせるのだ」と言われた。
そこで、
「では、日常生活に於て手足をばたばたさせているすがたとはどんなすがたですか」
とお聞きすると、
こう言われた。
「苦しみから逃げよう、いやな事から遠ざかろうとするのがもがいているすがただよ」
なるほどと思い、
「苦しみに立ち向かってゆけばよいのですね」
というと、こう言われた。
「苦しみに向かうのは、つらい勇気のいることだ。
しかしその中を真実一路突き進んでこそ宿善になり求道になるのだよ」