「君、どんな人の運転がうまいと思うかね」
私は色々考え、状況判断にすぐれた人とか、感のよい人とか、その場で思いついたことを御答えした。
すると「ズバリ一言で……」
私は御答するのに窮してしまった。しばらくして
「それはズバリ一言、事故をおこさない人です」
まったく仰言る通りである。
“事故をおこさぬ人”
この御言葉の中に、異様なまでに激増する交通事故の恐しさ、
予期せぬ突然の死の影が宿っていたのです。
いつ死ぬともわからぬ
無常の命でありながら、なぜ驚かぬと心を千々にくだかれる善知識の御気持ちをわからせていただく程に、その御気持に反する自分であることが知らされるばかりでした。