芥川龍之介の著した本に「クモの糸」というのがある。
これは芥川龍之介自身を一人のカンダッタという罪人に警えたのであるが、
自己を真面目に考え、自分の
欲望の恐ろしさに驚き、
ついにそれに負けて
自殺したのである。
あのカンダッタの恐ろしい心、人はどうなっても構わない、
私だけが助かりたいという我利々々亡者の心は芥川一人の心ではない。
浄土真宗の法話では、こんな心があなたにもないかと斬り込まれる。
私の心の中に仏が住んでいるのか。
鬼が住んでいるのか。
仏どころか鬼が住んでいる。
私はカンダッタよりもっともっと悪いと思う。
私は法鏡に照らされて始めて、自己を見つめることができました。
真実の教えに遇わずに、自己を見抜いた芥川龍之助は真面目な人だと思う。
が、縁なき衆生と見捨てられた気の毒な人である。
しかし
不思議にも三世の諸仏に見捨てられ、
助かる縁手がかりのない私が今この尊い
阿弥陀如来の本願を
聞かせて頂いているということは遠く宿縁を喜ばずにおれないのです。
「真実を知る者は幸福なり!
真実を求むる者はなお幸福なり!
真実を獲得する者は最も幸福なり!」
のお言葉が身にしみてきます。
この上は
信心決定するまで突進む覚悟であります。