私は
親鸞会の講師と車の中をご一緒した。
ちょうど車が福井の駅を過ぎたころ、
先刻から窓の外に流れてゆく福井の町々をじっと
ご覧になっていられた講師が、ポツンとこんなことを云われた。
『私はね私はこれら多くの人々にどうしたら
弥陀の本願を伝えることが出来るのかとそう思うと居
ても立ってもおれなくなって来る。
私にはこれらの人々を一人も残らず手次がねばならない責任がある』
そういわれた
親鸞会の講師は、またもとのように黙ってしまわれた。
深刻なお声であった。私はこの時ふと『世雄の悲!!』を感じた。
私は思った(一体この講師は何を考えていられるのだろうか?
不思議なお人だ、私ごときにとてもうかがい知ることの出来ないお方だ)と、
今なおこの時の感激を忘れることができない。